モチベーションとリーダーシップ

皆さんはどのような組織で働いていますか?どの組織にもトップにはリーダーの立場となる人がいて何かしらの目標に向かって日々勤務していると思います。もしくはご自身がリーダーの場合もあるでしょう。チームのモチベーションを維持しつつ目標を達成するための理論をご紹介します。

リーダーシップには何が求められているのか

そもそも理想のリーダーとはどのようなものでしょうか。

「組織内のメンバーの能力を十分に発揮させることができる」

「冷静に問題点を分析する」

「効率的な方法・改善へ導く」

など、組織の性質によって主体的に求められるものは多少異なるかもしれません。しかし共通するのはその言葉通り‘リード’する(=統率する)ということです。メンバーをまとめた上で効率的かつ最高のパフォーマンスにより結果を出す、ということが求められています。

リーダーシップに関する研究は古くからなされ、1900年代に入ってからは米国を中心として様々な理論が確立されてきました。大きく分けると下記の4つの理論変遷がみられます。

これらを一つずつみていきたいと思います。

特性理論

優秀なリーダーはあらかじめその素質をもっているという考えのもとに確立された理論です。生まれつきの性質であるという考えから「リーダー性」「非リーダー性」と2種に分けて研究がされていました。

例えばリーダー性のある人は「活動力」「粘り強さ」「意欲」「柔軟性」など複数の特性を持ち合わしているとされましたが、研究が行われるにつれて優秀なリーダーたちを分析しても必ずしも同じ特性を持っているとは限らないという結論に至ります。そのため、この特性だけでは理論が進まず別の見方が必要とされるようになりました。

行動理論

この理論は生まれながらに持っているのではなく、リーダーの行動がリーダーシップへの発揮へとつながるという考えから進められたものです。優秀なリーダーがとっている行動をそうではないリーダーとの比較し、前者の行動をまねることでリーダー性を育むために確立されていきました。

①PM論

行動理論の代表的なものとして、リーダーシップを「目標達成能力」と「集団維持能力」の2つで表したPM論というものがあります。これは日本の心理学者・三隅二不二(みすみ じゅうじ)が提唱しました。

「目標達成能力」はチームとして設定した目標に到達させるようリーダーシップを発揮する能力を指します。加えて「集団維持能力」はチーム内が良好な人間関係を育み協力し合う関係を維持させる能力です。

図を見てわかるように右上のPM型が良いのは言うまでもありません。チーム全体のモチベーションを上げ、達成に向かっていくのがPM型です。

この理論はシンプルなため汎用性が高いものですが、理想的なPM型のリーダーをまねるだけでリーダーシップが身につくわけではない、との見方がなされるようになりました。

②マネジリアルグリッド論

PM論と同様に行動理論の一つとして挙げられるのがマネジリアルグリッド論です。指標はPM論同様2つですが、その度合いを9段階で表しています。

業績への関心度がどれくらい高いか、チーム内の人間への関心がどれくらい高いかのバランスで表し、81マスのどのあたりに位置するかによりタイプを分けています。こちらも右上に位置する方がより理想的なリーダーといえます。

どちらの要素もリーダーには必要なものですが、これはリーダーの内的要因のみを表しており、外的要因となる環境や業務内容、条件が反映されてないとの見方から新たな理論が求められるようになりました。

条件適合理論

この理論は、リーダーシップは特定の性質を持っているのではなくリーダーがその環境によって力を発揮しているというものです。優秀なリーダーは状況に対応して自らのかかわり方を変化させていく能力が必要とされることになります。

SL理論

条件適合理論の例として、1977年に提唱されたリーダーシップ条件適応理論(Situational Leadership)の頭文字を取ったSL理論が挙げられます。

これはチーム内のメンバー(部下であることが多い)のスキルや対人関係によってリーダーの導き方が変わります。

メンバーの成熟度が低い場合は、業務の指示を細かく与え指導にあたる必要があります。一方で成熟度が充分である場合はより同じモチベーションで業務を行えるようにマネジメントをすることが効果的となります。

スキルに加え、「一からきちんと教えて欲しい」という人もいれば、「ある程度自由にやらせて欲しい」という人もいるでしょう。メンバーのスタンスを確認しながら業務を行なっていくことも求められます。

これらも反映させて組織をまとめることで目標を達成しやすくなり強いチームを作れることと思います。

コンセプト理論

1980年頃よりビジネス環境の変化や状況によってリーダーには様々な種類があると考えられてきました。具体的なパターンに落とし込んだものがコンセプト理論になります。

これはより現代に合った理論であるといえるでしょう。代表的なものを下記にご紹介します。

カリスマ型リーダーシップ 

こちらはApple社の元CEO スティーブ・ジョブズを思い浮かべるとイメージが付きやすいのではないでしょうか。人物そのものが持つ稀有なカリスマ性と冷静な分析力、意欲的な行動がその性質です。リーダー自体が非常に強い力を持ってチームを高みに持っていくため、うまくいくと良い結果を出しやすいのが長所です。短所としてはメンバーがその力に引っ張られ過ぎて自由度が少なく、トップダウン式の極端なチームとなってしまう可能性があります。次世代を育てることも視野に入れて組織をまとめていく必要があります。

変革型リーダーシップ 

チームや会社自体を大きく変えるときに有効なのが変革型リーダーシップです。業績低下時からのV字回復を目指す場合や企業内を一新する際に効果的です。先に述べたカリスマ型リーダーシップと異なるのは、リーダーは明確なビジョンを打ち出し、行うべき施策をメンバーに共有することでチーム全体が動いていくことです。メンバー一人一人が自発的に働けるよう考えていくことがポイントです。

EQ型リーダーシップ 

チーム内のEQ(こころの知能指数)を重視したマネジメントを行うリーダーです。メンバー自身と他者のそれぞれの感情の理解を促し、かつコントロールしてチーム内の人間関係を円滑にします。モチベーションの向上を図ることでチームとして目標を達成しやすくすることを特徴とします。

ファシリテーション型リーダーシップ 

リーダーがチームのトップに立つのではなく、ファシリテーターという中間の位置で舵を取るスタイルです。メンバーの意見を引きだして自発性を重視することになるため、ある程度成熟度の高いメンバーやモチベーションの高いメンバーが揃っているチームで効果がでます。

サーバント型リーダーシップ 

サーバントは召使いという意味ですが、リーダーはサポート役に回るリーダーシップです。実務をメンバーが主として行い成長することを意識したリーダーシップです。リーダーは方向性を示し責任を伴いますが、自ら強いポジションパワーは使用しません。チームが向かう方向を明確に示しながらもメンバーが行動し強い組織を作ることへとつなげます。

これから求められるリーダーとは

さて、リーダーシップに関しては各理論が展開されてきました。「リーダー」というとバリバリ働き、見た目も中身も意欲に溢れた人を思い浮かべるかもしれませんが、リーダーの性格はそれぞれです。最後のコンセプト理論で挙げたように現代ではリーダーの特性もバラエティに富んでいます。

ご自身がリーダーシップ性を考える場合には、元々持っている性格とチームの性質からどのようなリーダーが求められるかをまず考え、組織を動かすことでよりモチベーションの高い効率的なチームを作り上げることができるでしょう。