ダイバーシティ・マネジメント ~多様な人材を活かす~

現代企業の取り組みの中で「ダイバーシティ」というキーワードが台頭してきています。具体的なマネジメント方法やメリット、どのような時代背景から生まれているのかを含めご紹介します。

ダイバーシティとは?

すっかり定着しつつあるダイバーシティという言葉。これは英語で「多様性」という意味を持ちます。人における多様性、それは性別や国籍など持って生まれたそしてスタイルとしての個性を指しています。

日本でも外国人労働者の割合は増えており経済の重要な位置を占めており、現在では学校や職場に外国籍の方がいる場合も多いでしょう。

日本での背景

日本はこれまで国籍、宗教、性別、ライフスタイルといずれもマジョリティ化しており、同じような道をたどる人が多い傾向にありました。1960年代に既にダイバーシティ・マネジメントの考え方があったアメリカのように、多くの人種や民族が存在するのではなく、日本は島国です。他の国に比べ人種の多様性が少ないですし、戦後の経済成長期を経て男性主体の働き方モデルが中心となっていました。そのような時代では女性が同じように働くことは少なく、結婚し出産し家庭での役割を強く求められていたと言えます。しかし1986年に施行された男女雇用機会均等法により徐々に現在の働き方へと変わってきています。

また、これまでは男女という区別でしかなかった性別で判断することが弱まっています。最近でも履歴書の性別欄を排除する要請が出ていましたね。

ライフスタイルにおいても大学や高校を出て就職し1つの会社だけで働く選び方もあれば、スキルを活かして転職をしたり、副業(複業)や起業をしたりと各人が様々な道を選びやすい時代です。育児や介護により働く時間・内容を変更するという現実的な側面からも求められています。

世代交代により従来の働き方に縛られる考えが変化したこと、そしてITの発展によって海外との接点が多く、近くなり様々な情報を得られるようになりました。現代では働く人の意識だけでなく企業もその意識を強く求められるようになっているのです。

ダイバーシティ・マネジメントと企業

実際にどのような取り組みが求められるかを見ていきます。これには組織が整備すべきハード部分と、メンバー一人一人が理解するソフト部分に分けることができます。

具体的施策

上記の項目はいずれも全体的にフォーカスする必要があるものです。メンバーの意識が変わっても組織のルールが同じままであれば具体的に行動が変わるわけではありません。また、その逆としてルールが変更されてもメンバーの意識がお互いを認めにくい状況であれば何も効果が生まれず、ルールだけが放置されてしまいます。そのため、全体的に底上げしていくような取り組みが必要なのです。

①キーワードはワークライフバランス

多様性を活かしたマネジメントであるからこそ、組織の中で多様な働き方を認める整備が必要とされています。男性でも女性でもバリバリと昇進していきたい人もいれば安定して同じポジションで働きたい人もいます。また、転勤を苦にしない人もいれば一か所で動きたくない人もいます。現在では育児や介護も働き方に影響してくるので、これまでのような正社員・パート・派遣などの単純な割り振りでは個人のワークライフバランスを活かすことができなくなってきました。

具体的には介護で一時的にキャリアダウンを希望し、落ち着いたらまた元のポジションで活躍できるようにすることや副業(複業)を認めることなど社内ルールを変更する必要があります。

②意識の共有とコミュニケーション

他の人とは価値観や考え方が異なるのが当たり前。そうわかっていても異なる人とのコミュニケーションは苦手ではありませんか?しかし会社では同じような人だけで固まるわけにはいかずチームとして様々な人と一緒に成果を上げていかなければなりません。

ダイバーシティ推進のためには組織側でもコミュニケーションの場をある程度提供する方がスムーズでしょう。ミーティング用の部屋や休憩室の整備をすることで社員が集まりやすい環境が一層求められます。

③多様性を持っている社員に対する取り組み

社内に障害をもった方がいる場合、その方も当たり前に働くことができる環境を整える必要があります。たとえば社内会議の場で聴覚障害の方がいる場合に、内容をPCでタイプすることによって共有したり、弱視の方が居る場合はディスプレイの調整を行います。車椅子の方がいる場合には社内を動きやすいように配慮することが挙げられます。

宗教や食習慣に対しても同様です。社内の懇親会やイベントでの食事に食事制約がある方を考慮してメニューを提供することは海外の会社では一般的でしょう。また、イスラム教徒の方が就業中に祈祷の時間を設けられるように理解をし、そのためのスペースを確保することが望ましいといえます。

現時点では多くの企業がここまで配慮していることは少ないでしょう。ですが今後必要となるのは確実です。

④研修などプログラムの充実性

そもそも多様性がどういうものか、なぜ必要とされているのかを社内で説く時間が大事です。漠然とわかっていても自分たちが当事者と考え、組織としてどのようにダイバーシティを推進していくかを示す必要があります。社内認識を共有していきましょう。

ダイバーシティ・マネジメントのカギとなるコンフリクトマネジメント

時代の移り変わりとともにダイバーシティ・マネジメントは必要とされていますが、現実的に果たして可能なのでしょうか。不可欠であることは誰もが認めるものの、その運用をするにあたって当事者の立場となれば簡単ではないと思うかもしれません。そこでマネジメントの1つとして挙げたいのがコンフリクトマネジメントです。

コンフリクトマネジメントとは

コンフリクトは訳すと「対立」という意味ですが、言葉だけを聞くとネガティブな印象ですね。組織内には大小問わず対立が存在していますがこの対立をうまくポジティブに持っていき、より成果をあげる組織としていけたらどうでしょうか。これはコンフリクトマネジメントとなります。コンフリクト状態、つまり誰かが何かで他者と対立した状態、になると人は下記のような反応を起こします。

上部3点が思わしくないことはわかりますね。取引等では対立するより妥協状態としていくことがビジネスには多いかもしれませんが、コンフリクトマネジメントは協調への到達を目指して行うものとなります。

コンフリクトマネジメントを行うには

できる限り協調を目指して解決していくには、勝敗をつけないことです。どちらかがwinではなくwin-winの状態を作ります。そして冷静に物事を判断していくことです。
人が判断を行う場合、つい感情を入れてしまいがちではないでしょうか。そのため、自分の立場を改めて認識し、相手の立場や考えを理解するには事実のみを見ます。ファクトベースで双方を見て進めましょう。もし対立の度合いが深いものであれば第三者が中間に居た方がスムーズです。そして大前提として「コンフリクト」をそのままにせず誰かが声をあげること。それをしなければいつまでも組織内にコンフリクトが乱立してしまいます。

誰かの行動=コンフリクトマネジメントのきっかけです。

コンフリクトに対する理解

コンフリクトはゼロにすることはできないものです。しかしコンフリクトを認知し不満を溜め込まないことで組織の溝を防ぐことができるのです。これを進めることで風通しのよい職場をつくり働きやすく成果につなげることができるため、コンフリクトに立ち向かう姿勢は歓迎するべきものではないでしょうか。誰もが伝えたいことを伝えられ、解決に向かって進んでいける会社へのきっかけとなるものです。

今後企業はどのように進んでいくのか

まだまだダイバーシティという言葉が独り歩きしている企業もあるでしょう。理念に取り入れられても組織を運営するにあたっては一朝一夕の簡単なことではありません。トップだけでなく組織内のメンバー一人一人がその重要性を理解し、誰もが働きやすい場所を作っていく、それがダイバーシティ・マネジメントとなります。経済産業省が積極的に啓蒙を行なっており日本全体でも重要視されている事項です。社会全体で取り組みが促進されていくことを願います。