今回はビジネスにおけるデザイン思考の重要性と実践する上でのいくつかのポイントを紹介していきたいと思います。ビジネス思考はどんな業種のどんな役職の方にとっても価値ある思考法であると実感をしています。この記事を読んで少しでもビジネス思考に興味を持って頂き、是非、ビジネスの現場で実践をしていただきたいと思います。

【デザイン思考が今の日本企業に必要な理由】

 なぜ、デザイン思考が今の日本企業に求められているのか。それは新しいサービスや製品を生み出す際の革新的なアイデアを生むための手段が「デザイン思考」であるからです。日本企業の技術力は今も昔も突出したものがありますが、高度成長期などに比べると、世界で存在感をなかなか発揮できないでいます。
逆に中国やアジア発の新たなサービスや企業が世界での存在感を増してきているのではないでしょうか。私が学生だった頃、「日本企業は技術力で勝っても戦略(アイデア)で負ける」という言葉を授業で聞いて、とても印象に残っています。

 今後、日本企業が海外の企業との競争に勝って、継続して収益を上げいくためには、今こそデザイン思考を駆使して、革新的なアイデアでビジネス、サービスを生み出していく必要があるのです。

【デザイン思考とは何か】

 デザイン思考とは非常にシンプルにいってしまうと「いかにイノベーティブなアイデアを考えるか」ということを目的とした考え方で「強制的に奇抜なアイデアを生み出させるツール」をいくつも包含しています。

 良く、子供と一緒に遊んでいると「どうしてそんなことを思いつくんだろう」とか「面白い捉え方をするな」ということを感じる経験があるのではないでしょうか。
それはいろいろな経験や知識、理論などを学んでいない分だけ、つまりいろいろなことを知らないが故に、枠にとらわれることなく、非常に自由な発想ができるのです。
一方で、私たちのようにある程度人生を歩んできて、いろいろな経験や知識が体に蓄積されてくると、それが枠、足かせのようになって、私たちの思考を自分たちでも気付かない内に制限してしまっています。

 イノベーションとは既存の枠の外で起こるものです。つまり、既存の社会通念や常識という枠の中で考えていたのではだめで、枠の外に思考を持っていく必要があるのです。そして、その時に非常に役に立つのが「デザイン思考」なのです。

 デザイン思考自体はかなり昔からある考え方です。最近ではポストイットを使って、アイデアを自由に出し合う(「発散」とデザイン思考の中では言います)ブレインストーミングという手法がかなり認知されているのではないでしょうか。ブレインストーミングのように、デザイン思考には様々な思考方法があります。

そして、これらの思考法に沿ってアイデアを練っていくと自動的に既存の思考の枠にとらわれないアイデアを生み出すことができるのです(それが実際にビジネスやサービスとして価値があるかどうかは検討する必要があります)。

【デザイン思考を使って新規事業を立ち上げる際の2つのコツ】

①一人で考えるよりも多様性のあるメンバーで考えろ!

デザイン思考を使って物事を考える際には、グループで意見を出し合うということが非常に重要です。この時、相手の出した意見を否定してはいけません。否定をするのが一番簡単です。ただ「No」と言えばいいだけですから。

しかし、そうではなく、アイデア出しがより活発になるように「相手の言ったことをもっと良くするにはどういうアイデアがあるか」という発想で相手の意見を参考に、それを発展させて議論をしていくことが重要です。
実際に上記のことを意識して議論をしてみると相手の意見に触発されて、自分一人では考えも及ばなかったようなアイデアを生み出すことができます。

さらに、グループのメンバーは多様なバッググラウンドを持った人たちで構成することも重要です。
同質なメンバーよりも、多様性があるメンバーのほうが、より様々な角度からアイデア出しを行うことができるからです。
また、女性の役割も重要であることが科学的に証明されています。女性がいることで、良いアイデアが生まれたり、議論がスムーズに進むと言われています。

②突き詰めて考えて、つまらないアイデアを出すよりはラフなアイデアでも良いのでまずはやってみろ!

これは本当に重要なことだと思います。アイデア出しをしていく中でちょっとでも良いと感じるアイデアがあったら、すぐに行動に移すことが非常に重要です。

現在のビジネスはスピードが命です。

自分達が思いつくようなアイデアは、大抵、他の人達も考えていると思って間違いないでしょう(実際、筆者が良いと思ったアイデアは大手保険会社が商品化しようとしていたり、タクシー業界が実証実験を始めたり、アメリカの大学が実験に取り組んだりしていました)。

良いと思ったら、なるべく早くプロトタイプと言われるサンプルのようなものを作成し、実際に消費者に使ってもらう。そして、フィードバックを得て、駄目な部分を改良する。これを高速に何回も繰り返していきアイデアをブラッシュアップしていくのです。
この部分はPDCAを高速に回していくのと同じですね。また、ラフなアイデアの内に実行をすれば、例え止めるとなったときでも、莫大な投資をしているわけではないので、大きな損失を被ることなく済みます。

 「あの時実際にやっておけば良かった」と後悔するよりは「良いと思ったら即行動にうつす」ことが重要です。

まとめ

今回の記事では本当にデザイン思考の触りの部分しかお伝えをすることができませんでした。デザイン思考は仕事のみならず、人生に対するマインドセットも劇的に変えてくれます。
興味のある方は是非、以下の参考文献をご覧になってみてください。これらの本にも参考文献が出ていますので、その中で気になった本があればどんどん読んで、デザイン思考を習得していってください。

こちらも合わせてお読みください:
【デザインシンキング】デザインシンキングにより、イノベーションを起こす!

前野隆司. システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」. 日経BP社. 2014

→上記の本はイノベーティブなアイデアを考え出す思考法がたくさん収録されており、すぐに実践可能なものばかりです。

トム・ケリー、デイヴィッド・ケリー. クリエイティブマインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法. 日経BP社. 2014

→こちらは実際にイノベーティブなアイデアを考えるコツも出ています。さらに「自分はイノベーティブなアイデアを考える事ができる人間なのだ」とマインドセットを前向きにしてくれます。