【アドバンテージマトリックス】業界全体の異なる事業特性を知り、自社事業の方向性を検討

業界によって異なる「事業特性」を把握するためのフレームワークです。事業の性質を、戦略変数(業界の競争要因)の数と、優位性構築の可能性という2軸でプロットし、縦軸に「戦略変数が多い・少ない」横軸に「可能性が高い・低い」の4象限に分けて分類します。

アドバンテージマトリックスの4タイプ

4つのタイプとは縦軸に「戦略的変数」、横軸に「優位性の構築の可能性」を取りことに、「分散型」、「特化型」、「手詰まり型」、「規模型」、と表現することができます。各タイプ毎に「収益性」と「規模」を軸にとったグラフにプロットする数字的・尺度的なアプローチをとると、それぞれ特徴的な形状になります。

「収益性」「売上規模」で様々な相関関係が見ることができ、アドバンテージマトリックスは業界における事業の特性を知る事ができる為、自社事業の方向性を検討する際に役立ちます

それでは4つの事業タイプを順に見ていきます。

①分散型事業

事業の「売上規模」に関係なく「収益」を上げることができますが、一つ一つの事業は大きくなりにくい業界、が該当します。
例えばカフェ事業やアパレル業などがここに当たり、このタイプに分類される事業は競争する手段が多いです。
つまり戦略次第で収益を上げることができます。
ただ、規模を拡大させていき、コストを下げれば競合事業との競争上、有利になる言う事は必ずしもありません。
そのため小規模の企業が、業界に複数存在する傾向があります。個人あるいは小規模でも事業しやすいのが特徴です。一般的にはこの業界は、顧客の思考が多様であるため、「ファンを作る事=企業の提供する商品やサービスが顧客に支持されること」で収益性が上がります。

②特化型事業

事業の「売上規模」に関係なく「収益」を上げることができ、規模の拡大も可能な業界が該当します。

計測機器業界の計測メーターや医薬業界の医薬品が該当します。業界の領域に特化した商品があり、領域ごとにシェアや人気に特性があります。
特化型事業も分散型事業同様、様々な戦略により収益を上げることができます。またこのタイプは、規模を大きくすることも勝因の1つとなります。
ある分野のシェアNo.1と呼ばれるような商品やサービスとなることも可能です。
特定の分野に特化することにより、競合より優位に立ちながら収益を得ることを目指す戦略が有効です。

③手詰まり型事業

「収益」と「売上規模」に関係なく、どの事業も収益を上げにくいと言われています。

例えば先進国におけるセメント業界や鉄鋼業界はこのタイプであることが多いとです。
このタイプでは戦略を駆使しても他社と差別化することが難しく競合は同じレベルの商品やサービスを同じ質で低価格で提供し、結果、皆が儲からない状態になってしまいます。
一般的に「手詰まり型事業」の業界は成熟期を迎えている業界が多いです。そのため提供する製品やサービスが均質化しており製造方法やコストについても差別化できないため、収益を上げることが困難な傾向があります。

④規模型事業

「収益」と「売上規模」に明確な関連性が見え、規模が大きくなるほど収益が上がります。

例えば半導体業界や自動車業界が該当すると言えます。

このタイプでは商品やサービスの工夫による差別化以前に、「規模の経済性」により売上規模が大きくなることによるコストメリットが競争要因となります。
例えば車はいかにデザインや性能が良くても、ある程度安くないと購入されません。安さを実現するためには、「材料一括で安く仕入れる」、「自社資源を有効活用する」、「生産性を高めるための投資」、などの工夫でコストを抑える必要があります。

顧客に支持される製品やサービスを提供し、そのうえで低価格の実現をすることが重要になります。

活用方法

大きくは業界特性を知ると、自社の事業特性を知るの2つに分けられます。

事業特性をもとに戦略や方向性を検討

例えばある生活用品メーカーが自社の資源を活用して掃除機やオーブンを開発し、新たに家電業界に参入するとします。家電業界は大量生産で製造コストを安くすることで他社より有利となる規模型事業の傾向が強い業界です。
そのため、ある程度大量に販売することを見越した値付けや広告などのマーケティングが効果的な事業戦略と言えるでしょう。
また新規事業の参入業界選びと言う視点もあります。例えば食品を扱う事業を検討するとします。小さな小売店を開くとすると近くに安くて何でも揃う大型スーパーがある場合は規模が小さいことだけで負けてしまう可能性があります。

一方で分散型事業のレストランであれば、規模によらず顧客にに気に入られれば成功する可能性は高まります。


特性を理解した上でどの業界でどんなビジネスをするか、考えることができます。

特化型あるいは規模型事業に移行

業界タイプはあるものの工夫次第で事業を移行させることが可能です。
例えば理髪業界は一般的には分散型に属しています。しかし1000円カットとして知られている理髪店キュービーハウスはビジネスモデルを工夫し全国展開し規模型事業に転換しました。
キュービーハウスは理髪店のサービスのうちカットに焦点を絞り、マニアルを作り、理髪業界にフランチャイズ方式を持ち込みました。さらにはITへの投資も積極的に行うことにより、規模を増やしコスト削減を可能としています。

「規模型事業」、「特化型事業」への移行を目指す事で、長期的安定収益の確保が可能になります。

まとめ

業界定義は具体的に行い事業特性を正確に捉えることが重要です。


食品業界を1つとっても
スーパーで売られている大手メーカーの食品は大量に安く売る「規模型事業」です。
しかしオーガニック食材のレシピ付き食品販売等、「特化型事業」もあります。
また商店街で各商店が独自の商品を提供している場合は、「分散型」と言えるます。

コモディ市場で強烈なシェア争いをすると「手詰まり型事業」に陥る

手詰まり事業に陥ってしまう原因としては2点

1、製品・サービスに差別化がないコモディ市場
2、シャア率の争いによりスケールするメリットが効かなくなる

たとえば、規模型事業でもある牛丼業界はスケールするメリットが効き、業界1位になることで、高い収益を確保できます。しかし、2000年ごろから外食大手の低価格競争に付随し、松屋が牛丼を390円から290円に値下げし、その後、すき家も値下げしています。結果、低価格戦争と、シェア争うに勢いがかかり、牛丼企業、各社は営業利益3から6%程度になってしまい、「手詰まり事業」に陥ってしまっています。

日本は様々な業界でコモディ化が進んでいるため、世界的に見ても、手詰まり事業を増やさないために、ブランド価値の向上、顧客・サービスを再定義していき、戦略につなげていきましょう。