ブルーオーシャンとベンチャーファイナンス

一般的にベンチャー企業が新規の事業を行う際、ブルーオーシャンの領域でビジネスをおこなうことを前提として資金調達をするケースが多いのではないでしょうか。

創業間もなく過去の実績がないベンチャー企業においては、銀行をはじめとした金融機関からの借入は難易度が高く、個人投資家やベンチャーキャピタル(VC)による出資により資金を調達するケースが一般的です。過去の実績がない場合、「将来の事業の成長性」が出資を実現する重要なファクターとなるのは言うまでもありません。今回、ベンチャー企業における一般的なファイナンスの手法について解説し、資金調達を行う際にどのような事業戦略が必要とされているのかを説明していきます。

ベンチャー企業の理解しておくべき特徴3つ

ベンチャー企業とは

「ベンチャー企業」という言葉は企業の定量的な側面での定義はありません。

元法政大学の総長であった清成忠男らにより創り出された概念であり、一般的には新規でビジネスを起業した会社や新しい事業アイデアのことを示しています。

「スタートアップ」と呼ばれる振興IT企業などもベンチャー企業と同義のこともあり、明確な定義がされていないというのが現状です。

ベンチャーファイナンスとよばれる一連の資金調達の手法については、一般的にはベンチャー企業やスタートアップ企業にて用いられるケースが多いというのが現状です。

しかし、大手企業の中でも新規事業においてベンチャーファイナンスという概念を当てはめるケースも存在します。

上場までの4つのライフサイクルとファイナンス

ベンチャー企業が目指すべき到達点は、IPOによる証券取引所への新規上場であるケースが多いです。一般的には上場までには4つのステージがあると言われています。

ここでは創業初期の段階から上場までのステージに分けて解説をしていきます。

シード

シード(seed)は日本語で「種」という意味を持ちます。

ここでは、ベンチャー企業の創業前の準備段階のことを指します。

新規事業について構想中・実行初期段階であることが一般的です。

会社の設立前であるケースもあります。

資金調達をする際は、「自己資金による調達」「友人知人からの借入」「個人投資家による出資を受ける」「創業融資を調達する」などの方法が一般的であると言われています。

アーリー

新規事業をローンチし、これから軌道にのせていく初期段階です。

web媒体などを活用し広告を行っていく必要があります。

売上が増加しない初期は赤字となるケースが大半であり、事業を継続するための運転資金が必要になる時期です。また、併せて加速していくために広告宣伝費などの費用も必要になります。資金の調達方法はシード段階と同じような方法となります。

ミドル

新規事業が認知され始め、徐々に売上が拡大していく段階となります。売上は増加していますが、アーリー期において調達した借入金の返済や広告宣伝費などの費用があるため、収支としては黒字になるかならないかギリギリの段階です。

さらなる売上拡大を目指すことで、損益分岐点売上高を超えていく必要があります。

そのための資金調達方法としては、ベンチャーキャピタル(VC)、民間金融機関からの借入などが挙げられます。

レイター

当初ローンチした新規事業が軌道にのり、安定して収益を生み出せるようになる段階です。

損益分岐点売上を超え、収支は黒字を維持することができるようになります。余剰のキャッシュをもとにさらなる新規事業の企画、立ち上げを行っていく段階です。証券取引所への上場も視野に入れており、VCからの出資なども盛んになってきます。資金のレバレッジを効かせてお新しい事業を成功させるために、上場への準備をはじめていきます。

ベンチャーにおける上場までの4つのステージ

本当にブルーオーシャンを攻めるべきなのか

”ブルーオーシャン戦略”とは

ベンチャー企業が資金調達をする際、対象となる新規事業は競争が激化していないブルーオーシャン市場であることが重要といわれています。

ブルーオーシャン戦略とはなんでしょうか。

マーケットにおいて競合相手のいない新たな価値を創出するような市場をさし、顧客に対して高価値で対価格を実現するような市場を示しています。

レッドオーシャンにおいては、競合他社との比較となり熾烈な価格競争を避けることができません。

具体的な成功事例

ここではブルーオーシャン戦略における成功事例をみていきましょう。

〈QBハウスの事例〉

QBハウスは言わずと知れた格安でカットなどのサービスを受けることのできる理容室を展開している企業です。

これまで、理容室におけるカットは3,000円から4,000円といった価格帯が一般的であり、施術時間は1時間ほどかかるケースが大半でした。

QBハウスは後発組の理容室ですが、大きく成長し店舗を拡大することに成功しています。

なぜQBハウスは成熟している理容産業においてシェアを拡大していくことができたのでしょうか。

実はQBハウスは先ほど説明したブルーオーシャン戦略を見事に活用しています。

カットにかかる時間は10分、金額は1,000円といった驚きの低価格で今までの業界の常識を大きく覆すことに成功しています。

前述したとおり、理容室は昭和の頃から営んでいる古くからの店舗が多くを占めており、成長が大きく止まっていました。

QBハウスは髪の毛を自動で吸い取る機械や、券売機による購入システムを導入することでオートマ化を加速させていきました。カットにおいても技術のある理容師を多く雇用し、圧倒的なスピードと低価格にて新たな市場を獲得していきました。

大手企業とした競合他社はQBハウスのような低価格を実現することができません。

当初より施術料金3,000円から4,000円という価格設定により利益を生み出すビジネスモデルを構築しているため、価格を下げると利益を生み出すことができなくなってしまいます。

よって低価格で短時間でカットのサービスを提供するQBハウスの市場はほぼ独占状態であり、ブルーオーシャンとなるわけです。

ベンチャーファイナンスについて

大切なこと3選

ベンチャー企業が資金調達を行う際、何をもって評価されるのでしょうか。

それは、「事業がこれから大きく成長していくのか」どうかに大きく依存します。

前述したとおり、創業間もない段階で過去の実績がない場合、財務内容で判断をすることができません。

よってこれから行う未来のこと(新規事業)がどれだけ確かに成長(収益化)していくのかをみる必要があります。

ブルーオーシャンを攻めても市場から評価されないケースもある

先ほどから新規事業においてブルーオーシャンを実現していくことの重要性を説明してきましたが、一方で必ずしもブルーオーシャンであることが評価されるとは限りません。

ブルーオーシャンで「競合他社がいない」ということは「そもそもニーズがない」ことである可能性があるからです。

しっかりの市場規模や顧客ニーズを調査したうえで、ブルーオーシャンを攻めていくことが必要になってきます。

まとめ

以上、ベンチャー企業において4つの成長フェーズが存在し、各段階で資金調達の方法が異なることを説明してきました。また、資金調達を行う際にはこれからの成長性に焦点があてられ、それは必ずしも競合が少ない市場において評価されないという点について解説してきました。

ベンチャーファイナンスを行う際に、市場環境や成長段階のどの点にいるのかを意識して最善の資金調達を行うことに役立てていただければと思います。