「つばめグリル」がネット通販、コロナ禍で進む飲食店のECビジネス

洋食レストラン「つばめグリル」を展開する、つばめは通販事業をスタートした。 冷凍食材のECサイト「フレッシュつばめ便」を1月16日に開設し、新型コロナウイルス感染症拡大、ニューノーマルに対応した新たな販路として展開することを目的としている。

レストランでご提供しているつばめグリルこだわりの味を、出来立てのまま日本全国のご家庭にお届けしたいという想いから、試行錯誤の結果「フレッシュつばめ便」が生まれた。
「フレッシュつばめ便」では、「つばめ風ハンブルグステーキ」「ロールキャベツ」「自家製ソーセージ」「ニシンの酢漬け」などをセット販売しており、「つばめ風ハンブルグステーキ&北海道産かぼちゃのポタージュスープセット」が2人前で税込3200円など、 調理した料理を即冷凍し、賞味期限を90日間とすることで通販を実現している。  

コロナ禍で進む飲食店のEC参入&EC強化

コロナ禍で飲食店のECビジネスへの参入が相次いでいる。 すかいらーくホールディングスは2020年、「楽天市場」「Amazon.co.jp」に出店。2021年にも自社ECサイトを立ち上げる予定である。
withコロナ時代への対応として、従来事業の枠を超えて新たな販売チャネルの拡大に取り組む必要があると判断し、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うイエナカ消費の増加に対応している。

持ち帰り寿司店「小僧寿し」を展開する小僧寿しは7月、食品などをネットで販売するECサイト「小僧寿しEC店」をオープンした。全国の名産品、こだわりの逸品、酒類などを販売している。
俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などの飲食店を展開している「俺の」は4月、俺のシリーズの公式ECサイト「俺のEC」を開設し「クロワッサン食パン」の販売数が、ECサイトオープンから4か月で1万本を突破している。
また 幸楽苑ホールディングスは2020年10月、ヤフーが運営する「PayPayモール」に「幸楽苑公式ショップ」を新規出店するなど、様々な企業で販路を拡大し始めている。

ECを新たな売上の柱に育て、コロナ禍を乗り越えよう

新型コロナウイルスの収束がいまだ見えてこない中、ローカルエリアのロードサイドなど、立地や業態によってはコロナ禍以前の売上を取り戻している飲食店も出てきている。しかしその一方で、現状も都心のオフィス街や繁華街の店舗は苦戦を強いられ続けている。

今後はたとえコロナが収束しても、テレワークなど新たな生活様式の広がりで、特に都市部における飲食店はコロナ以前の売上に戻らない覚悟で備える必要があると感じる。

新たな事業の柱として、これまで夜営業のみだった店舗がランチ営業をはじめたり、多くの飲食店でテイクアウトやデリバリーに取り組んだりしており、ネット通販(EC)もその方法論の一つとなっており、どれも正解であり、むしろどれかひとつに頼るべきではないのである。

テイクアウト・デリバリーやECは、前回の緊急事態宣言をうけて急遽はじめたという飲食店も多いだろう。しかし、準備が整わない状況でとにかくやれることをやろうとした結果、それが法令に違反する行為だった、というケースが多くあったという。

実際、EC運営はどんなことに気をつけねばならないのだろう。気づかないうちに違法行為をしてしまわないよう、やってしまいがちなネット通販の注意点を知り、成功への糸口をさぐっていこうと思う。

知らずに違法行為も? ECで気を付けるべき営業許可とは

焼肉店が、店の味を家庭でも楽しめるようにと、店で出している自慢の肉を「おうちで焼肉セット」「BBQセット」にして生肉を冷凍通販──よく見かける気がするが、生肉の販売は飲食店の営業許可とは別に「食肉販売業」の許可が必要だ。無許可で販売すると、営業停止や行政処分、処罰の対象となる場合がある。

「飲食店の営業許可は、あくまで飲食の店内提供に対する許可です。ネットショップで食品を販売する場合、作るものに応じて製造業や販売業の許認可が必要になります。たとえばオードブルを売るなら<そうざい製造業>、自家製キムチは<つけ物製造業>、ラーメンセットなら<めん類製造業><食肉製品製造業><調味料等製造業>など。また、販売する食品によって<魚介類販売業><乳類販売業>などが必要なケースもあります」

EC運営に必要な許認可は主に「製造業系」「販売業系」

食品関係の営業許可は食品衛生法に基づく34業種のほか、各都道府県の条例で定めているものがある。たとえば東京都の場合、食品製造業等取締条例に基づく「食料品等販売業」などの許可が必要とされる。

EC通販でやりたいと思っていることが取得する営業許可の範囲でできるかどうかの確認は、とても大事であり、必要な許認可は、まずとりやすいものから取得していくことをお勧めする。すでに飲食店・喫茶店の営業許可があるので販売業系はさほどハードルは高くないが、必要書類を整え手数料と共に所轄の保健所に届ける必要がある。

一方、製造業の許可は、高度な設備が必要で、一般の飲食店が取得するのはかなり難しい。専用の処理室が設置できるなど条件が満たせれば、菓子製造業やそうざい製造業などは取得できるケースがある。ただ、食肉製品製造業は、通常の飲食店設備だけではほぼ取得できないという。

焼肉セットを売りたい場合は、おつきあいのある精肉業者さんに委託製造してもらう方法が効率はいいでしょう。パックして納品してもらえば包装食品として扱えるので、販売業の許可だけで営業することが可能となってくる。

冷凍して配送する場合の注意点

鮮度を保つため、真空パックにしたり、冷凍・冷蔵して配送する商品もあるだろう。だが、冷凍食品の製造も、許可なく行うことはできない。

【食品の冷凍業又は冷蔵業】という許可が必要になっており、この営業許可は規格基準が非常に厳しく、セントラルキッチンなど設備がある程度整っていてもまず取得できなくなってしまっている。しかし、食の安心・安全のために実際は冷凍・冷蔵して配送する場合もある為、この場合は「冷凍食品」ではなく「冷凍流通品」として読んでいく。

食品表示法は正しく理解 ~アレルギーなど命に関わる重要情報

ECで食品を販売する際には食品表示法に基づいた食品表示基準が適用される。飲食店では表示義務がない原材料名やアレルギー、添加物などを包装容器などに記載しなければならない。実物を手に取って確認できないネット販売の場合は、食品の義務表示事項をサイト上でも確認できるのが望ましい。

■食品表示法の新基準に基づく食品の義務表示事項

表示が必要な項目
名称保存の方法消費期限又は賞味期限
原材料名添加物内容量又は固形量及び内容総量
栄養成分の量及び熱量食品関連事業者の氏名又は名称及び住所製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等
一定の要件に該当する場合、表示が必要な項目
アレルゲン
(特定原材料※の成分を含む食品)
原料原産地名
(国内で製造したすべての加工食品)
原産国名
(輸入品)
遺伝子組換え食品に関する事項
(含有する食品)
指定成分等含有食品に関する事項
(含有する食品)
L-フェニルアラニン化合物を含む旨
(アスパルテームを含む食品)
機能性表示食品に関する事項
(当該食品)
特定保健用食品に関する事項
(当該食品)
乳児用規格適用食品
(当該食品)

※特定原材料:えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
参照:消費者庁『早わかり食品表示ガイド(令和2年11月版・事業者向け)』
この他、都道府県が条例で定める食品の品質表示等(例)東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示

飲食店は食品表示法の対象ではないため、苦手分野のようだが、すべての食品に食品表示が義務付けられいることを忘れてはならない。一括表示シールを作成できるラベラーもあり、コストを抑えるならワードやエクセルで自作も可能となっている。

各営業許可申請は、所轄の保健所へ届け出る。基本的には、商品を製造している場所での認可が必要だが、販売許可は商品を発送する店舗や本社などの住所の所轄で取得する場合もある。詳しくは、保健所に問い合わせて確認しよう。

気になることやわからないことは、必ず保健所に聞くようにしましょう。もし知らずに違反行為をしていたとしても、いきなり処罰の対象にはならずにまずは、どうすればいいのかアドバイスしてくれます。

また、新型コロナウイルスの対応に追われているのに問い合わせていいのかな、という遠慮はしてはいけない。なぜならば、コロナ対応は専門部署で、飲食部門とは異なるためである。むしろ、新規開店の申請などが減っているぶん対応できる時間が増えているのだ。メール、電話でも面談でも、親切に応じてくださるので、積極的に活用していきましょう。

ポイントは柔軟な発想と必然性。成功するECサイト運営のコツ

ハンバーガーショップのECサイトがハンバーガーだけを売る必要はなく、肉を生かした洋食でも牛丼でも、もっと柔軟に複数ブランドを持っていくことが可能。セントラルキッチンがあれば、稼働させて裾野を広げていき、居酒屋でも、ラーメンやステーキ、チーズケーキも売れるのがECサイトの強みとなっている。

ECサイトで複数ブランドを持つメリットは、既存顧客に加え、それぞれ違った新規顧客層をターゲットにできる点である。まずもっとも得意な業態を発展させたEC向け商品を開発し、その次のステップとして、どの層を次に攻めるかを考えていこう。

美味しいものとECで売れるものは違い、美味しいかどうかはネット上ではわからない。美味しそうと思ってもらえる写真、キャッチ―なネーミングが必要になってくる。

似たような商品が数多くある中で、あなたの店でなければならない理由は何か。お客様があなたの店を選ぶ理由はあるか、常に問い続けることが重要である。売れ筋商品を小手先で真似しても二番煎じになってしまう。この店の、この味でなければという理由がなければ生き残ることは、厳しいようだがなかなか難しい。

しかしEC運営は、飲食店のコスト構造とはまったく違う点は念頭に置いておきたい。飲食業の延長線上で考えていると、利益が出ないばかりか売れば売るほど赤字になってしまう可能性もあるので注意が必要だ。ECは原価以外にECサイトや決済の手数料がかかる。また配送コストは特に冷凍の場合、負担が大きい。消耗品コストである包材も、原価の一部と考えたほうがいいだろう。

ECサイトは楽天市場のようなショッピングモールや、BASE(ベイス)のようなネットショップ型プラットフォームが手軽に使える。どちらもパソコンに馴染みがなくても手軽に利用でき、それぞれメリット・デメリットがある。事業規模にあわせて選択していこう。

■ECサイト比較例

ECサイトモデル利用手数料 始めやすさ販促しやすいか
モール型(楽天市場など)比較的高い △
多少のITの知識が必要

ショッピングモールのユーザーがすでにいるので、販促しやすい
自社型(ザ・ベースなど)比較的安い ○
あまり知識なくてもすぐ始められる、カード決済の審査期間が短い

自身のSNSなどで販促する必要あり

コロナ禍でも売上が落ちなかった飲食の二大巨頭は、焼き肉と寿司となっている。共通しているのは家庭では作れず、スーパーやデパ地下の総菜ではない、近所のレストランでもない、お取り寄せしてでも食べたいものを消費者は求めている。そのコンセプトであれば業態は焼き肉と寿司には限らないため、ぜひ自社の強みと照らし合わせて、消費者の本質の課題解決がとても重要である

この新型コロナウイルスという風を追い風とし、もう一度、飲食業の真骨頂、お客様と笑顔で対話して「美味しかったよ」とお声をいただき「またお越しください」とお見送りする、あの醍醐味が戻ってくるまで、踏ん張って、がんばっていきましょう!